研究について

研究成果

1993年北海道南西沖地震の港湾地域における強震記録

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0778 1994年06月
執筆者 松永康男、桜井博孝、森田年一、井合進
所属 構造部 地盤震動研究室
要旨  1993年7月12日22時17分12秒、北海道日本海岸の奥尻島の北方を震源とする気象庁マグニチュード7.8の地震が発生した。気象庁によって、この地震は「平成5年(1993年)北海道南西沖地震」と命名された。本地震の震源位置は、北緯42度46.8分、東経139度11.0分、深さ35kmであった。本地震によって、北海道の小樽、寿都、江差、青森県の深浦で震度Vの強震が記録されたのをはじめ、北海道および東北の各地に激しい地震動がもたらされ多くの被害が発生した。また、これと同時に本地震によって大津波が発生し、奥尻島をはじめ日本海沿岸部の広い範囲で多くの被害ならびに犠牲者が出た。これらの被害により、港湾施設の被害額は全体で約130億円に達した。  1962年より観測が開始され、1963年から記録が得られている港湾地域強震観測網においては、本地震によって10港13地点で強震計が作動し、6港9地点でデジタルデータとしての加速度記録を得ることができた。記録が得られた港湾は、青森港、函館港(地表箇所・地中基盤・構造物)、小樽港、室蘭港、苫小牧港、宮古港の6港9地点であった。浦河港、酒田港の記録については加速度値が小さかったため、八戸港の記録については記録が不鮮明であったため、秋田港の記録については強震計の記録の巻取り部に問題があったため、それぞれ記録をデジタル化することができず加速度の最大値のみの読み取りに留まった。  本資料で報告する記録は、北海道南西沖地震の際に港湾地域強震観測網で観測された9個の強震記録、ならびに7月12日23時4分24秒に発生した余震の記録(3港6地点)、7月13日1時1分5秒に発生した余震の記録(3港5地点)、および8月8日4時42分44秒に発生した余震の記録(3港5地点)である。報告する内容は、それぞれの記録について、1)未補正加速度記録、2)計器特性による補正加速度記録、3)SMAC-B2型強震計の計器特性と等価なものに換算した補正加速度記録、4)積分により求めた速度・変位、5)応答スペクトル、6)フーリエスペクトル、7)加速度・速度・変位の軌跡、を示している。函館港においては、地中基盤と地表の2層同時観測を行っているので、更に加速度の増幅率を示している。また、本震の全記録を対象として、加速度・速度・変位の距離減衰関係を併せて示している。
全文 /PDF/no0778.pdf