研究について

研究成果

1993年釧路沖地震の港湾地域における強震記録

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0777 1994年06月
執筆者 松永康男、桜井博孝、森田年一、井合進
所属 構造部 地盤震動研究室
要旨  1993年1月15日20時06分07秒、北海道太平洋岸の釧路沖を震源とする気象庁マグニチュード7.8の地震が発生した。気象庁によって、この地震は「平成5年(1993年)釧路沖地震」と命名された。本地震の震源位置は、北緯42度53.5分、東経144度22.4分、深さ103kmに位置し、その震央位置は釧路港の南方約12kmにあった。本地震によって、釧路で震度VIの烈震が記録されたのをはじめ、北海道および東北の各地に激しい地震動がもたらされ、港湾施設の被害額は約129億円に達した。  1962年より観測が開始され、1963年から記録が得られている港湾地域強震観測網においては、本地震によって21港27地点で強震計が作動し、17港22地点でデジタルデータとしての加速度記録を得ることができた。記録が得られた港は、釧路港(地表・地中基盤)、花咲港、十勝港、浦河港、室蘭港、苫小牧港、函館港(地表・地中基盤・構造物)、小樽港、青森港、八戸港、宮古港、釜石港(地表・地中基盤)、大船渡港、仙台港(地表・地中基盤)相馬港、常陸那珂港、鹿島港の17湾22地点であった。塩釜港、酒田港で得られた記録については、アナログ記録の不鮮明のために、東京港(地表・地中基盤)、横浜港で得られた記録については、記録の加速度値が小さかったために、それぞれ記録をデジタル化することができず加速度の最大値のみの読み取り留まった。  本資料で報告する記録は、釧路沖地震の際に港湾地域強震観測網によって観測された22個の強震記録、ならびに1993年2月4日23時43分14秒に発生した余震の際に釧路港の地表および地中基盤で観測された強震記録である。報告する内容は、それぞれの記録について、1)未補正加速度記録、2)計器特性による補正加速度記録、3)SMAC-B2型強震計の計器特性と等価なものに換算した補正加速度記録、4)積分により求めた速度・変位、5)応答スペクトル、6)フーリエスペクトル、7)加速度・速度・変位の軌跡、を示している。地中基盤と地表の2層同時観測を行っている地点(釧路港、函館港、釜石港、仙台港)では、更に加速度増幅率を示している。また、本震の全記録を対象として、加速度・速度・変位の距離減衰関係を併せて示している。
全文 /PDF/no0777.pdf