研究について

研究成果

沿岸波浪観測値を利用した重回帰波浪予測

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 032-03-02 1993年09月
執筆者 青野利夫、後藤智明、佐藤一央
所属 水工部 海洋エネルギー利用研究室
要旨

 観測波浪値、観測風速値、気圧分布値を説明変数とする重回帰モデルは、現地で比較的簡便に運用できる波浪予測システムとして用いられている。
 しかしながら、気圧データの作成に人手がかかることや、高波浪の立ち上がりが真値である観測波浪に対して時間的に遅れるという問題があった。
 本研究では、これらの課題を克服するための研究の第1段階として、予測対象地点を除いた日本沿岸において取得された観測波浪データだけを説明変数とする重回帰波浪予測モデルの構築に関して検討を行った。得られた結論は、以下のとおりである。
1。波浪観測地点相互の相関解析から、日本沿岸における波浪の伝達時間は、日本海側では吸収から北海道までの時間がほぼ1日で、冬期が速く夏期が遅いのに対し、太平洋側では夏期を除いて1日半程度ほぼ同じ速度であることが明らかになった。
2。相関解析結果をもとに観測波高だけで24時間先までの波高および周期の予測が可能な重回帰モデルを開発した。本モデルは、目的変数となる地点で説明変数となる地点との出現時間差を考慮した2段階の波高予測を行うことで、重回帰モデル特有の予測値と観測地の間に見られる時間的遅れの問題を解消した。

全文 /PDF/vol032-no03-02.pdf