研究について

研究成果

海底地盤の波浪による液状化に関する研究

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0755 1993年06月
執筆者 善功企
所属 土質部 動土質研究室
要旨 海底の砂地盤が波浪の作用によって液状化することが指摘されている。液状化が発生すると海底地盤は懸濁状態になり強度を失うため、地盤のすべり破壊、海底パイプラインの浮上、異形ブロックの沈下、杭の支持力の減少などをもたらす可能性がある。また、液状化によって、海底地盤表層部の底質の移動が容易になることから、洗掘、漂砂とも密接な関連があると考えられる。したがって、液状化現象の解明は、これらの諸問題を取り扱う上で、極めて基本的でかつ工学的に重要な課題であるが、これまで、波浪による液状化に関する研究成果の蓄積は少なく、液状化メカニズムや予測法については未だ十分確立されていない。このような背景から、本論文は、海底砂地盤の波浪による液状化メカニズムを解明し、液状化の予測法を提案しようとしたものである。  本論文では、過剰間隙水圧発生の観点からみた液状化メカニズムには、残留過剰間隙水圧によるものと、変動過剰間隙水圧によるものがあることを理論的および実験的に明らかにしている。また、2ヵ年にわたる現地観測によって、実海域における液状化現象を確認し、室内実験および現地観測結果と理論解析結果を比較することにより、提案した液状化予測法の妥当性を検証している。さらに、提案された液状化予測法を用いた被災防波堤の事例解析結果が提示されている。
全文 /PDF/no0755.pdf