研究について

研究成果

円筒構造物のコンクリート打設直後の温度応力解析

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 031-03-03 1992年09月
執筆者 清宮理、山田昌郎、長廻幹彦
所属 構造部 構造強度研究室
要旨  セメントの水和熱によるコンクリート打設直後の温度ひびわれは、従来重力式ダムなど特に大規模なコンクリート構造物において問題とされてきた。近年コンクリート構造物の大型化にともないタンク、ケーソン、橋梁下部工等のコンクリート構造物でも問題化してきている。温度ひびわれはコンクリートの体積変化が既設コンクリートなどにより拘束されることにより生じるものである。したがって拘束の機構を明らかにすることが、ひびわれの制御方法を検討するうえで重要な一項目となる。  既設コンクリート(拘束体)により拘束を受ける新設コンクリート(被拘束体)が直立壁である場合についてはこれまでも研究がなされており、いくつかの簡易予測法も提案されている。しかし被拘束体が円筒部材である場合については、現在のところ温度ひびわれに関する知見が少ない。そこで模型実験と有限要素法による数値解析により円筒構造物の温度ひびわれについての検討を行った。  模型実験および数値解析の結果、円筒壁の拘束度は直立壁よりもかなり小さくなる傾向を示した。これは円筒壁では経期待の半径彷徨変異により直立壁より応力が低下するためと考えられる。したがって円筒壁の温度ひびわれに関する挙動を数値計算により予測する際には、三次元有限要素法など面外方向の変位も考慮できる手法が有効と考える。
全文 /PDF/vol031-no03-03.pdf