研究について

研究成果

二重円筒ケーソンに作用する動水圧に関する模型振動実験

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0681 1990年09月
執筆者 上部達生、長田信
所属 構造部 地震防災研究室
要旨  大水深海域の波浪制御を目的とした防波堤構造物として開発が進められている、開口部がある二重円筒ケーソンに作用する動水圧特性を模型振動実験により検討した。  実験では高さおよび直径が50cmのアクリル製の模型を使用した。開口部分は外側円筒の天端から20cmの範囲とし、開口率をいくつか変化させ、単一の円筒および複数の円筒が連続した円筒壁に作用する動水圧を計測した。模型は、外側円筒の全周に開口部を設けた透過型と外側円筒前面だけを透過とし、後面を不透過とした消波型を用いた。  実験結果によれば、開口部がない円筒壁面に作用する動水圧の深さ方向の分布形状はWestergaardの理論式の形状と類似しており、各円筒ケーソンに作用する動水圧の合力は、Westergaardの理論式を円筒直径と同一幅に適用した場合とほぼ一致した。円筒壁に作用する動水圧の大きさは単一の円筒に比べかなり大きく、とくに円筒が接する辺りで圧力が集中する様子がみられた。これを緩和するように、各円筒間に間隔を開けると、作用する動水圧は著しく減少した。透過型の場合では、外側円筒の不透過部分に作用する動水圧は、開口率が大きくなるにしたがって小さくなったが、開口部内側の内側円筒に作用する動水圧は大きくなる傾向がみられた。さらに、透過型の場合では、単一の円筒、円筒壁ともに、25%の開口率を設けることで、作用する動水圧の合力は開口部のない場合の約7割に減少した。しかし、消波型の場合では、開口率の増加にともなう動水圧合力の減少程度は小さく、開口部のない場合の9割程度の値であった。
全文 /PDF/8f8ccb4bcd129e07d130fbeed1569908ea1475d8.pdf