研究について

研究成果

海底粗度計の開発-海底砂超音波特性に関する基礎実験-

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0677 1990年06月
執筆者 木原純孝、入江功、加藤一正、柳嶋慎一、栗山善昭、白井一洋、塚田泰久、篠原丈人、宮沢久、伊藤日出人
所属 機械技術部 計測施工研究室
要旨

 破波帯内外の漂砂を定量的に明らかにし、精度の高い海浜変形予測技術を確立することが要望されている。
 精度の高い予測手法の確立に際して、モデル化しなければならない多くの現象の一つに、砂漣の形状がある。しかしながら、砂漣形状の研究は主に実験室レベルで検討されているにすぎず、現地の特に荒天時の砂漣がいかなるものであるかについては、ほとんどわかっていない。
 そこで、荒天時においても海底の砂漣が観測できるような、超音波を利用した海底粗度計の開発研究を行った。荒天時においては、超音波計測を用いた従来方式では、波による流れ、海底土砂の浮遊、破波による気泡、漂流物等による超音波伝搬特性へ与える影響があり、海上からの計測が不可能である。例え可能であったとしても、センサー地震による流体の乱れが、海底の微地形である砂漣形状を壊してしまい、正しい形状を測定することができない。このようなことから、超音波送受波器を海底面下に埋設して、砂中から海底面の砂漣を測定する方式を検討した。研究の結果は、次のとおりである。
1)室内モデル実験の結果、モノパルス超音波を用いて、砂中からの砂面形状測定が可能であることがわかった。
2)砂中の超音波伝搬特性を把握するため、室内実験および波崎海洋研究施設における現地実験の結果、空気に触れる波打際の砂中の音速は約500m/sで伝搬周波数も300Hz~1kHzと低調音波周波数が15~30kHzで、減衰定数が6~8dB/mであり、さらに、高い周波数においても計測可能であることがわかった。
3)距離分解能の関係で、超音波周波数を20~88kHzの間で可能な限り高くする必要がある。
4)以上のデータを基に、システム設計を行った。
5)今後は得られたシステム設計に基づいた海底粗度計を試作し、荒天時を含めた現地の海底粗度計の連続観測を行えば、本方式の海底粗度計の実用化が可能であると考えられる。

全文 /PDF/no0677.pdf