研究について

研究成果

鋼・コンクリートハイブリッドはりの疲労特性

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0658 1989年09月
執筆者 横田弘、清宮理
所属 構造部 構造強度研究室
要旨

 コンクリートと鋼板を形鋼を用いて合成させたハイブリッド部材の海洋環境下での疲労特性を調べるために、疲労試験を実施した。用いた試験体は、コンクリートの引張緑のみに鋼板を配置したはりが2種類と引張および圧縮両緑に鋼板を配置したはりが1種類の合計3種類18体である。得られた試験結果に基づき、ハイブリッド部材に用いられる溶接鋼板の疲労寿命の算定式(S-N関係)を求めた。さらに、日本近海での波浪条件に対して、ハイブリッドはりを実構造物に適用した場合の疲労破壊に対する安全性をマイナー則を用いて検討した。
 試験の結果、ハイブリッドはりの疲労破壊の形式は、鋼板とせん断補強鉄筋あるいはずれ止めの取付け位置付近での鋼板の破断であった。繰返し荷重が200万回作用しても疲労破壊が生じない際の荷重の上限値は、はりの静的耐荷力の約2倍となりかなり小さな値となった。また、ずれ止めとして形鋼を多数溶接した鋼板に関して、繰返し応力と疲労破壊時の繰返し回数との関係(S-N線図)を提案できた。このS-N線図と日本近海での波浪条件を用いてマイナー則により計算した累積損傷度は1以下となり、海洋環境下での疲労破壊に対する安全性が確認できた。

全文 /PDF/no0658.pdf