研究について

研究成果

トラス式鋼製岸壁の振動性状

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0650 1989年06月
執筆者 稲富隆昌、豊田奉節、風間基樹、大塚幸治
所属 構造部 構造振動研究室
要旨

 経済的で耐震的な岸壁を建設するには土圧の軽減と支持機構の工夫が必要である。本報告はこの二つを考慮して提案された斜杭を有するトラス式鋼製岸壁の動的特性を模型振動実験および動的解析で検討したものである。同岸壁の主な構造的特徴は以下のとおりである。
 (a)土圧は岸壁の土留壁に傾斜角を付けて軽減させる。
 (b)地震外力は杭の横抵抗力ではなく、軸方向の支持力で抵抗させる。
本研究の結論は以下のとおりである。
 (1)トラス式鋼製岸壁の上部工に作用する静的外力は、杭の軸方向力で支持されることを確認した。
 (2)裏埋め地盤による土圧合力は、斜杭の交点に作用し、その力は杭の軸方向に伝達される。
 (3)トラス式鋼製岸壁の動的応答は、地震動の卓越振動数が地盤あるいは岸壁の固有振動数に近くなると卓越する。
 (4)動的外力に対しても、トラス式鋼製岸壁は杭の軸方向力で支持される。しかし、杭には地盤の応答による曲げひずみも生じる。
 (5)動的解析結果は実験結果を定性的には捉えていたが、模型実験結果を定量的に議論するには入力物質定数等を精度良く算定する必要がある。
 (6)トラス式鋼製岸壁の耐震設計は、地震動の卓越振動数、および地盤ならびに岸壁の固有振動数の大きさを考慮して検討する必要がある。

全文 /PDF/no0650.pdf