研究について

研究成果

港湾地域強震観測年報(1988)

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0649 1989年06月
執筆者 倉田栄一、井合進
所属 構造部 地盤震動研究室
要旨

 港湾地域における強震観測は昭和37年より港湾技術研究所が中心となり、のちに示す港湾関係諸機関が協力して実施してきた。1988年12月現在、港湾地域強震観測網には84台の強震計が55港に設置されていた。このうち63台が地盤上、15台が構造物上に、6台が地中に設置されていた。使用している強震計は大別するとSMAC-B2強震計とERS強震計である。SMAC-B2型強震計は機械構造を主体としたもので強震計開発委員会で設計された強震計である。ERS強震計は港湾技術研究所地盤震動(旧耐震構造)研究室が開発した強震計である。これには動コイル型換振器の受感部にもち電磁オシログラフでアナログ記録する方式のB、C、D型と、サーボ型換振器を受感部にもち、個体メモリでデジタル記録する方式のF型がある。ERS-B型は地震動の水平2成分を記録し、ERS-C、D型は鉛直成分を含めた3成分を記録する。ERS-B、C型は地表および構造物上における観測用として、D型は地中観測用に使用される。デジタル強震計の場合は同一換振器が地中、地表、構造物のいずれを対象とした観測にも使用される。
 この年報は、前記観測網で1988年に得られた記録について報告する。年報は本文および観測結果からなり、観測結果は、強震観測表、記録波形、速度、変位波形、フーリェスペクトル、応答スペクトル、ディジタル記録、水平面内の加速度、速度および変位軌跡からなる。
 強震観測表(Strong-Motion Earthquake Observation Results)には、対象期間中に得られたすべての記録を地震ごとに分類し、地震の試料と最大成分加速度等を示した。ただし、成分の最大加速度が20ガル以下で対応する地震が確認できないものは除いてある。地震資料(Earthquakedata)に示すものは、震度(Intensities)を除き、気象庁地震津波監視課発行の「地震月報」によっている。しかし、この年報を編集する時点で地震月報が刊行されていない地震については、地震津波監視課が速報的に発表する「地震火山概況」によっている。その場合には、そのことが地震資料に注記されている。記録番号は記録が港湾技術研究所に到着した順序で付され、Sで始まる番号の記録はSMAC-B2強震計、Mで始まる番号の記録はアナログ記録方式のERS強震計、Fで始まる番号の記録はディジタル記録方式のERS強震計で得られたものである。

全文 /PDF/no0649.pdf