研究について

研究成果

大水深波浪制御構造物に関する水工的研究(その5)-二重円筒ケーソン(マウンド設置型)の水理特性と設計波力-

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0637 1988年12月
執筆者 谷本勝利、下迫健一郎
所属 水工部 水工部長
要旨

 大水深・大波浪海域における新しい防波堤として実用化が進められている二重円筒ケーソンについて、捨石マウンド上に設置する混成堤形式を対象とした水理模型実験を行い、反射・伝達波特性、波力および滑動特性を明らかにするとともに、設計波力の算定法について検討した。
 二重円筒ケーソンの反射率は、外側円筒の前後とも孔の開いている透過型、後半分が不透過な消波型ともに全体として0.4~0.6程度である。一方、伝達率は透過型の場合には波浪条件等により0.2~0.4程度である。これに対して消波型の場合には相対天端高hc/HI1/3によって異なり、相対天端高が0.6程度では通常の混成堤と同じくらいとなる。
 各部材に作用する波力は、直立壁に作用する波力に比べて小さい。また部材ごとにピークとなるタイミングにずれがあり、堤体全体に作用する合波力の値は、各部材のピーク値の和よりも小さくなる。設計波力の算定法は、通常の直立壁に働く合田式による波圧に、部材ごとに適当な低減係数をかけて分布させるもので、外側円筒の前半分に働く波力が卓越する位相と遊水室内部の波力が卓越する位相の2種の分布を与えた。なお、合田式においてマウンドの影響を表わすパラメータd2は0としてよい。今回の算定法で計算すると、二重円筒ケーソンに働く滑動合成波力の値は、消波ブロックで被覆された同じ高さ、同じ幅のく形ケーソンについて合田式(波力低減係数λ=0.8)で求めた値と同程度である。

全文 /PDF/no0637.pdf