研究について

研究成果

数値計算と現地観測による港内副振動特性の検討

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0636 1988年12月
執筆者 高山知司、平石哲也
所属 水工部 波浪研究室
要旨

 長崎港、仙台港のような、港口が狭く、奥行きが長い港湾では、周期数十分程度の港内副振動とよばれる異常潮位変動が発生することがある。港内副振動が発生し、その振幅が大きくなると、護岸の越流、港湾荷役の停止、係留索の切断による船舶の漂流、等の被害が生じる。したがって、港湾計画の策定時においては、港湾副振動に対する検討が必要である。
 本研究では、既存の副振動観測データと今回新たに観測して得られたデータを基にして、港内副振動の特性を検討した。次に、数値計算によって、現地で観測される副振動の増幅機構を明らかにした。本研究で用いた数値計算法は、長浜近似と差分法を用いるもので、複雑な地形を持つ不等水深の港湾における副振動の振幅、および振動モードを求めることができる。
1)長崎港の現地観測データを用いて、数値計算の検証を行ったところ、構内波高比、振動モード、港内流速等の計算値は実測値とよく一致し、本数値計算法の現地における適用性が高いことがわかった。
2)水深200m以浅の陸棚域も含めた広領域計算で、長崎港、仙台港、飯田港(石川県)、敦賀港の副振動特性を検討した結果、長崎港、仙台港のような港内水域の面積が大きい港湾では、陸棚での副振動との共振によって、陸棚と港内で2段に増幅された、振幅の大きい港内の副振動が発生することが確認できた。一方、飯田港、敦賀港のような比較的小さな港湾で発生する顕著な副振動は、陸棚あるいは、港湾をその中に含む飯田湾のような小湾の副振動によって生じており、港湾と陸棚の共振は起こらない。

全文 /PDF/no0636.pdf