研究について

研究成果

深層混合処理工法により形成される改良体の破壊モード

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0622 1988年06月
執筆者 寺師昌明、北詰昌樹、中村健
所属 土質部 地盤改良研究室
要旨

 深層混合処理工法によって地中に形成される安定処理土は、従来の工法による改良土に比べてせん断強度ならびに剛性が極端に大きい。このため、ブロック式改良などの大規模構造物を対象とする改良型式の場合、設計上は地中に形成される安定処理土の塊(改良体)を一種の地中構造物とみなして、改良体の外部安定(改良体が剛体として変形する場合の周辺無改良地盤の安定)と内部安定(改良体そのものの耐力の検討)とに区分して検討することにしている。しかし、この種の改良体の破壊例は皆無であり破壊モードすら知られていなかったため、従来、安全側の仮定の下に設計法が組みたてられている。
 本研究では、上部構造物を防波堤とし、支持層に着底するブロック式改良体を対象とした。改良体に作用する鉛直力は模型ケーソンの自重で、波力は静的な水平力に置きかえて、応力に関する相似性を満足する遠心模型実験手法により改良体の破壊モードを検討した。一連の実験結果から、外部安定の保たれている改良体の破壊モードはすべり線の発達による明瞭なせん断破壊ではなくクラックの発達によること、ピーク荷重時には改良体上部のケーソン前趾を通る鉛直面上にクラックが発生することが分かった。改良体の強度を変化させた実験からは、低強度の改良体の場合にはピーク後の荷重低下は少ないものの、強度が増大するとピーク後の荷重低下が顕著になることが判明した。また、設定する外力条件などに留意すれば、既往の設計手法が改良体の内部安定のインデックスとなることが分かった。

全文 /PDF/no0622.pdf