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研究成果
半円形構造護岸に作用する土圧について
発行年月
港湾空港技術研究所 資料 0565 1986年09月
執筆者
春日井康夫、高橋邦夫
所属
土質部 基礎工研究室
要旨
半円形構造護岸とは、堤体の主要部分が半円形のコンクリート版による壁体と上部壁体から構成される護岸である。この構造は、半円形本体に作用する土圧や波圧の鉛直成分を利用することによって、従来の重力式構造物に比べ堤体重量を大幅に軽減できるなどの利点を有する構造で、特に大水深域に対して有利な新しい構造様式である。 本資料は、大水深における半円形構造護岸の設計の基礎資料を得るために、構造物に作用する土圧を考察したものである。従来のケーソン方式の構造物では曳航時の水圧により部材断面が決定されている。それに対して半円形構造護岸では、施工方法の違いから土圧により部材断面が決定される場合が生じてくると予測される。そのため、構造物に作用する土圧として、主働土圧だけでなく最大波作用時および引き波時についても考慮する必要がある。 主要な結論を述べると次のようである。 (1)常時の主働土圧を求める方法としては、裏込めの一部を構造物と一体に考えるランキン土圧とクーロン土圧の併用法が妥当である。 (2)地震時の主働土圧を求める方法としては、試行くさびを用いた図式的な計算によるクローンの方法と港湾の施設の技術上の基準・同開設に示されている土圧計算式の方法を曲面壁体に適用した場合について比較検討した。両方法とも結果の差はわずかしかなく、計算の容易な後者のほう使用すれば十分である。 (3)FEM計算によれば、波の作用により裏込め土圧は大きく変化する。したがって、土圧の変化と波力(押し波および引き波)の両者を考慮して、構造物全体の安定および部材の断面の検討をする必要があると言える。 (4)構造物の部材のたわみによる土圧再配分が土圧分布に及ぼす影響は小さく、通常の設計において考慮する必要のないことが明らかにされた。
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