研究について

研究成果

大陸棚における津波の変形過程と海岸構造物の津波低減効果について

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0551 1986年06月
執筆者 鶴谷広一、谷本勝利、原中祐人、山嵜一雄、松延嘉國
所属 海洋水理部 水理研究室
要旨

大陸棚のかなり緩勾配な地形上を進行する津波の変形と、そのような津波に対する海岸構造物の津波低減効果を調べる目的で水理模型実験を行った。実験水路は津波水路(長さ163m、幅1m、深さ1.5m)を用いた。  実験は、津波の変形と遡上を主として調べた小縮尺実験(模型縮尺1/200)と、津波の遡上に与える構造物の効果を調べた大縮尺実験(模型縮尺1/50)の二種類に分けて行った。  津波の変形過程は、段波先端部でのソリトンの発達と、その後に続く段波の平均高さで特徴づけられる。ソリトンについては、非線形分散波理論の中で最も一般的であるPeregrineの式を用いて計算を行い、実測値と比較した。その結果、ソリトンの波形は実測値のほうが計算値よりもかなりとがった形となり、ピーク値の出現時刻も実測値のほうが早く出現することがわかった。しかし、ピークの値そのものは、砕波点の近くまで両者にそれほどの差は出なかった。  段波の高さについては岸の有限振幅長波の変形理論と実測値がほぼ合う結果が得られた。  離岸堤、防波堤や海岸堤防等の各種構造物津波の遡上に与える影響を調べ、構造物単独の場合および組み合わせた場合の効果を把握することができた。離岸堤の場合は、実際には開口部があるので、実験でも開口部を設けた検討も行ったところ、開口部なしの場合と比べてかなり遡上高が割り増しされることがわかった。

全文 /PDF/no0551.pdf