研究について

研究成果

造波機によって発生する斜め波の特性について

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 021-02-01 1982年06月
執筆者 高山知司
所属 海洋水理部 波浪研究室
要旨

 実際の海の波が方向スペクトルを有する不規則波であることはよく知られている。このような特性を有する不規則波を水層内に再現し、模型実験に用いることは非常に重要である。
 本研究は、このような不規則波を発生させる装置を制作する際に重要となる斜め波の特性について理論解析したものである。まず、単一の造波板で起す波について理論解を求め、実験値と比較することによってその解の妥当性を確認した。各造波板間の運動の位相を考慮しながらこの解を重ね合わせることによって斜め波に対する理論解を求め、斜め波の特性について調べた。その結果、波の進行角度が小さくなるほど、波高の変動性が大きくなり、この変動性は造波板の幅を無限小にしても取り除くことができないことが判明した。最後に、反射壁を有する水槽内での斜め波の特性についても調べた。
 本研究で得られた主要な結論は以下のとおりである。
1) 造波板の微小振幅運動を仮定して求めた、一枚の造波板で起こされる波の理論解は、模型実験結果とよく一致している。
2) 造波板の幅bと波長Lとの比b/Lが0.5以下では、等波高線は同心円状になり、等波向線は放射状となる。しかし、b/Lが大きくなると、波高および波向分布ともに非常に複雑になる。
3) 各造波板の運動の位相差を考慮して、斜め波の解を上記の解を重ね合わせとして求めた。この解を用いた解析では、斜め波の波高および波向は一様にならず、場所的に変動することがわかった。この変動は、造波板の幅を非常に小さくしても消すことができないことが判明した。

全文 /PDF/vol021-no02-01.pdf