研究について

研究成果

漂砂の供給源,卓越方向の推定への天然放射性トレーサーの利用について

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 007-03-02 1968年09月
執筆者 佐藤昭二、入江功
所属 水工部 漂砂研究室
要旨

 天然放射性トレーサーを追跡することにより、漂砂の供給源、卓越方向を推定する方法を、仙台湾海岸を例にとって調べてみた。
 仙台湾海岸に沿って、前浜から砂を採取し、水洗い乾燥した後、砂中に含まれる重鉱物を、四臭化エタン(比重2.95を用いて分離した。重鉱物中に、トリウムと比例した量で含まれるPb(0.239MeV)を、それから放出されるガンマ線を測定することにより定量し、この結果から、天然放射性核種トリウムの含有率を、放射平衡の観点から計算した。トリウムは、重鉱物中に主として含まれているので、このようにして求めた重鉱物中のトリウム含有率から、重鉱物を分離する前の全砂中のトリウム含有率を計算した。仙台湾海岸の海浜砂についての分析結果によれば、砂中のトリウム含有率の沿岸方向の分布は、漂砂の方向、供給源をかなり明確に示す指標になり得ることがわかった。

全文 /PDF/vol007-no03-02.pdf