研究について

研究成果

港湾構造物における高張力異形鉄筋の使用方法に関する調査研究(第2報)

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 007-01-02 1968年03月
執筆者 赤塚雄三、関博
所属 構造部 材料施工研究室
要旨

 既報の第一報に引続き高張力異形鉄筋の調査研究を行なった。本第二報は高張力異形鉄筋の品質の変動、コンクリートの打上り高さが付着強度におよぼす影響および曲げ加工によって鉄筋表面に生じたキレツが引張特性におよぼす影響についての調査結果を取纏めたものである。
 品質の変動は、昭和41年度直轄港湾事業において使用されたSD30およびSD35の異形鉄筋を対象とし、19の工事事務所において無作為に採取した56種の試験片を用い、降伏点、引張強度および伸びの試験を行なって調査した。この結果、調査の対象となった56種の異形鉄筋はいずれもJISの規格値を満足し、チャージ間の品質変動も概して小さく、たとえば降伏点の変動係数は2~3%であった。
 コンクリート柱に打上り高さを変えて水平に埋込んだ異形鉄筋のコンクリートとの付着強度は、打上り面0~60cmの表層部分では下層に比べて約1/3程度まで低下するが、これより以下の部分ではほぼ一定となることが認められた。
 このような表層部分における付着強度の低下は、打上り高さによる圧縮強度の分布とほぼ符号するもので、直接的にブリージングの影響によることが認められた。
 曲げおよび曲げもどし加工によって鉄筋表面に発生した鉄筋を用いて、一定の時効硬化後に引張試験を行った結果、試験片は曲げ領域の外側で破断し、肉眼で認め得る大きなキレツ(0.1~0.5mm)も引張強度に影響せぬことが確かめられた。これは、冷間加工を施したことにより曲げ領域の引張強度が高められたため、伸びは当然ながら減少し、たとえば、素材の27%に比べて曲げ加工後の伸びが14%程度まで減少したものも認められた。

全文 /PDF/vol007-no01-02.pdf