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ゴムチップ混合固化処理土の研究

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港湾の工事においては、工事の過程で作業範囲への海水の浸入を防いだり、ゴミ処分場の周辺でゴミにによる海水の汚染を防ぐため、止水構造を設けることがあります。このような部分には、多少の変形が発生しても水洩れの心配がないようなしなやかな材料が必要とされています。そこで、新しい地盤材料として、強さとしなやかさをあわせもつ新材料の開発を進めています。

ベースとなるのは、軟らかい粘土に少しだけセメントをまぜて硬くした材料(セメント固化処理土)です。このような材料はセメントの効果でそれなりに強いのですがしなやかさに欠け、もろい性質があります。そのため、このような材料を少し変形させるとすぐにヒビが入り、それが大きな割れ目になっていきます。そこで、このセメント固化処理土にゴムチップを加えて材料にしなやかさを持たせ、少しぐらい変形してもヒビ割れが入りにくい材料(ゴムチップ混合固化処理土)とする研究を行なっています。

ゴムチップは、廃タイヤのゴムの部分を取り出して裁断したリサイクル製品です。つまり、ゴムチップ混合
固化処理土は廃材利用による環境にやさしい新材料であると言えます。

ゴムチップ混合固化処理土の研究の画像

普通の固化処理土とゴムチップ混合固化処理土を同じ条件で変形させる(押しつぶす)実験を行ない、その途中でX線CT装置を使って材料の内部を観察しました。図の上段が普通の固化処理土、下段がゴムチップ混合固化処理土です。また、図の左側が押しつぶしはじめる前の状態で、図の右側に行くほど、変形させた量が大きくなっています。

普通の固化処理土では、左から3枚目の写真ですでにヒビが入り、4枚目の写真ではすっかり割れてしまっています。一方、ゴムチップ混合固化処理土では、3枚目の写真まではヒビは確認できず、4枚目の写真でもまだ細かいヒビが確認できる程度です。
ゴムチップを入れることで、変形に対する耐久性が大きく改善することが分かります。

今後もより機能性が高く効率的な材料の開発を目指して研究を続ける予定です。