研究について

研究成果

吸い出し・陥没抑止に向けたケーソン目地透過波低減法

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1393 2021年12月
執筆者 佐々 真志、石坂 修
所属 地盤研究領域 動土質研究グループ
要旨

 吸い出しによる護岸・岸壁の陥没は全国各地で発生してきており、近年も数多くの被災事例が報告されている。これらの陥没は、防砂板・防砂シートの損傷などの防砂機能の喪失によって吸い出しが生じ、これに伴う空洞が、地中で生成・発達することによって、突然発生する。ケーソン間では、透過してくる波の繰り返し作用を主要因とした防砂板損傷によって当該事象に至る。本研究では、吸い出し・陥没を引き起こすケーソン間の透過波力を繊維製網状の緩衝材により効果的に低減させることによって、吸い出し・陥没リスクを大幅に抑制しうるケーソン目地透過波低減法を開発した。実海域試験と各種の現地調査・観測およびメカニズムの分析を通じて、防砂板の損傷を引き起こす目地透過波を継続的に80%以上低減するとともに、高波浪の影響や目地間の形状変更を始めとする通年の周囲環境の変化後も、高い陥没抑止効果を維持発揮することを実証した。本低減法は、 全国の老朽化施設を含む護岸・岸壁背後のケーソン目地部に容易に設置が可能であり、 繊維製緩衝材として追随性に優れることから、港湾・海岸構造物の防災減災および長期的維持管理に今後幅広く活用されることが期待される。本資料では、上述の目地透過波低減法の詳しい施工手順や品質確保、ならびに、重要港湾および国際戦略港湾における主な施工事例についても合せて付記している。

キーワード:護岸・岸壁、吸い出し、陥没対策、ケーソン、透過波、ネットバッファ

全文 TECHNICALNOTE1393