研究について

研究成果

水中バックホウを対象としたマシンガイダンスシステムの構築と精度検証

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1390 2021年09月
執筆者 喜夛 司、平林 丈嗣、髙尾 俊輔、吉江 宗生
所属 インフラDX研究領域 メタロボティクス研究グループ
要旨

 沖縄の海洋工事については、海水が高い透明度を持っているため直接目視での状況認識が可能であることから、潜水士搭乗型水中バックホウが古くから導入されてきた。しかし水中バックホウ近傍での潜水士による作業も発生することとなり、また、潜水時間の制約や波浪、潮流等による作業中止基準は、潜水士の安全確保のため必要である。そこで、さらなる安全性及び生産性向上に寄与すべく、情報化施工技術を港湾施工現場に適用するため、従来陸上施工で活用されてきたマシンガイダンスを水中バックホウに適用できるよう検討を行った。
 水中マシンガイダンスシステムのバックホウの刃先の高さ計測誤差の目標を±32mmとして設定し、水中施工において使用可能な市販センサを選定し、精度確認のための要素試験を実施した。また、水槽でプロファイルソナーによるマウンド形状認識に関する水中試験を実施し、周辺の状況認識の特性を確認した。
 さらに、水中バックホウ試験機にセンサを搭載し、水中マシンガイダンスシステムを構築した。その後、水中バックホウ試験機で刃先接触による地形計測試験を陸上および水中において実施した。その結果、陸上の刃先の接触位置が安定しているコンクリート面では、最大誤差+12mm で地形を計測する事が可能であった。150mm 砕石の模型を対象とした水中試験では、刃先の接触位置が不明瞭となるため計測誤差が大きくなったが、平均誤差+31mm、偏差±17mm の精度で計測可能であることを確認した。
 その後、本システムを、水中バックホウ TKM200-9に搭載し、実際の海洋港湾工事現場において補助的に利用した。潜水士から意見聴取を行い、遠隔操作化に向けた検討を実施した。

キーワード:港湾工事、水中バックホウ、マシンガイダンス、水槽試験、実海域試験

全文 TECHNICALNOTE1390