研究成果
非構造格子を用いた計算手法の土砂輸送解析への導入の試み
発行年月 | 港湾空港技術研究所 資料 1411 2023年09月 |
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執筆者 | 大竹 剛史,中川 康之,小硲 大地 |
所属 | 沿岸環境研究領域 沿岸土砂管理研究グループ |
要旨 | 正方格子に代表される構造格子を用いた流動場や土砂輸送等の数値シミュレーションでは,海岸 線や防波堤などの施設形状が,格子サイズに依存して凹凸のある不連続な境界として扱われてしま うため,土砂輸送量に変化を与える可能性があり,地形や施設形状に沿って格子形状を任意に変更 可能な非構造格子モデルが導入される場合がある.一方,非構造格子を用いて土砂輸送計算が行わ れた研究事例はあるが,非構造格子を用いることによる地形変化への影響はあまり分かっていない. そこで本研究では,非構造格子モデルを用いた土砂輸送計算の特徴を把握するため,非構造格子モ デルによる数値シミュレーション手法の把握および構造格子モデルとの比較を通した,格子形状が 異なる条件の下での流れ場および地形変化の計算結果に与える影響について評価する事を目的とし た. 非構造格子モデルの離散化手法のうち有限体積法を取り上げて基礎的な理論と離散化手法につい て整理した.整理した手法を用いて数値波動水槽を用いた簡易な数値実験を実施し,構造格子モデ ルと非構造格子モデルでの比較を通じて,非構造格子モデルの特徴と留意点について整理した.そ の結果,非構造格子を取り扱う際の直交性の重要性や移流項および水平粘性項の取り扱いの違いに よる結果の差異を示した.三角形格子の中心点に外心を用いることにより直交性を確保しているオ ープンソフトウェアモデルSUNTANS を用いて,インドネシア・パティンバン港周辺を対象とした 実地形での土砂輸送計算を実施し,構造格子モデルとの比較を通じて土砂輸送計算における特徴を 整理した.その結果,海岸線に沿う流れに違いが見られ,侵食域の範囲に影響を与えることが分か った.さらに,潮流を遮るような防砂堤を設置したケースについて検討を行い,流動場と土砂輸送 への影響に注目したところ,流速の変化量の範囲に差異が見られ,地形変化量に影響を与えること がわかった.
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TECHNICAL NOTE1411(PDF/1,776KB)
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