研究について

研究成果

波と風の同時作用下におけるモノパイル式洋上風車の応答特性

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 62-3-5 2023年09月
執筆者 加島 寛章、米山 治男
所属 海洋利用研究領域 海洋利用研究グループ
要旨

 洋上風力発電施設の設計指針である国際電気標準会議(IEC)規格のIEC 61400-1 では,設計負荷 の軽減を目的に,1 つの風条件に対して1 つの波条件を指定した荷重組合せ条件が設定されている. 一方,実海域の海洋環境下では,上記と異なる風と波の条件が発生しており,安全で安心な洋上風 車の建設や運用を行うには,様々な気象海象条件に対する風車応答を十分に理解しておくことが非 常に重要となる.そこで,実海域の海洋環境下で発現しうる複数の気象海象条件下で5MW のモノ パイル式洋上風車の応答解析を実施し,波と風が同時に洋上風車に作用する時の応答特性について 検討した.その結果,変動風が洋上風車に作用した場合,ブレードピッチ制御に起因する風速に対 して非線形な応答が出現することが確認された.また,風荷重と波荷重が同時に作用した場合,海 底面において風車応答に対する波荷重の影響が大きくなるとともに,一波一波の波作用によりその 応答が増幅しうることが確認された.さらに,その増幅効果は相対水深が小さくかつ波形勾配が大 きい波,すなわち浅海波条件の波が作用する時に極大化することが確認された.最後に,洋上風車 の実設計で用いられている時刻歴応答解析手法と作用力のつり合い式を用いた静的解析手法により 得られる応答結果の比較から,静的解析手法は,時刻歴応答解析による応答概略値を簡易に推定で きる有効な手法であることを明らかにした.

キーワード:モノパイル式洋上風車,時刻歴応答解析,OpenFAST,静的解析,曲げモーメント

全文 REPORT62-3-5本文(PDF/6,614KB)
REPORT62-3表紙・奥付(PDF/680KB)