研究について

研究成果

港湾構造物の建設時におけるCO2排出量算定に関する基礎的検討 ―工事実施前でのCO2排出量推定のための手法の整理と試算―

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1399 2022年03月
執筆者 中村 菫、川端 雄一郎、辰巳 大介
所属 構造研究領域 構造新技術研究グループ
要旨

 世界的に脱炭素化に向けた動きが活発化する中、日本の港湾分野においてはカーボンニュートラルポート(CNP)の形成に向けた取組が進められており、港湾構造物の建設における低炭素化の重要性が高まっている。低炭素化を効率的に進めるためには、工事実施前に港湾構造物の建設時におけるCO2排出量を事前推定し、それに基づく効果的な低炭素化方策を検討することが必要である。また、事前推定にあたっては、工事の詳細が決まっておらず不確定要素がある中でCO2排出量の算定を行うこととなるため、算定可能範囲の明確化や不確定要素の取り扱い等について整理が必要である。
 本資料では、まず、計画―設計―施工(工事発注~工事実施)といった港湾工事のプロセスの中で、CO2排出量の事前推定を行う場面毎に、算定主体や算定方法等を整理した。次に、工事発注段階においてCO2排出量を事前推定することを想定し、算定範囲や算定手法に関する整理を行った。具体的には、算定範囲を明確化するため、港湾工事に関連する各種CO2排出源に関する整理を行った。算定手法については、CO2排出原単位の算定手法である「産業連関法」及び「積み上げ法」について特徴等を整理し、それぞれによるCO2排出原単位を用いて港湾構造物の建設時におけるCO2排出量を試算することで、原単位の算定手法の相違がCO2排出量の算定結果に及ぼす影響を検討した。また、試算結果を考察することにより、工種毎や排出源毎の排出割合等といった、港湾構造物の建設時におけるCO2排出量の特性を明らかにした。

キーワード:港湾構造物、建設、CO2排出量、低炭素化、産業連関法、積み上げ法、カーボンニュートラルポート

全文 TECHNICALNOTE1399(PDF/1,532KB)