研究について

研究成果

水中バックホウによる捨石マウンド本均し作業の遠隔操作化に向けた本均しアタッチメントの提案と性能試験

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1396 2021年12月
執筆者 喜夛 司、平林 丈嗣、髙尾 俊輔、上山 淳(極東建設)、金城  寛(琉球大学)、大城 尚紀(琉球大学)
所属 インフラDX研究領域 メタロボティクス研究グループ
要旨

 捨石マウンドの天端の均し作業は代表的な港湾工事の作業の一つである。この作業は、現在、主に潜水士の手作業で行われているが、潜水士の負担が大きい。そのため、機械を用いた施工も行われている。その1つに水中バックホウによる均し作業がある。この工法は、現在、潜水士が水中で水中バックホウを操縦し作業を行っており、潜水士の負荷をさらに軽減する余地がある。そのために、水中バックホウの均し作業の遠隔操作化の実現に向けた課題抽出を行ったところ、作業効率の低下が挙げられた。
 そこで本検討では、遠隔操作化を実施した場合の効率向上のため、簡単な操作入力で作業できるアタッチメントの提案する。提案するアタッチメントは、完全に水没した状態で使用することなどから、市販の油圧ブレーカをベースとした。その先端に転圧板を取り付け、叩き均しを行う装置とした。  試験装置を製作し、陸上の実物大の捨石で製作したマウンド模型を対象に性能試験を行った。その結果、最大の高低差400mm程度があるマウンド面を目標とした高低差200mm以内に均す能力を有していると考えられる結果が示された。なお、課題点として、目標高さよりも低い部分を均す能力がないことも確認された。別種の装置である程度まで均したのちに本機構を使用することが考えられる。
 その後、実海域でも、捨石マウンドを対象とした試験を実施した。なお、本試験は潜水士による搭乗操作で実施した。その結果、水中でもマウンドを沈下させ均す能力が確認された。その沈下させる性能は、5秒で11cm程度、30秒で25cm程度であった。 また、著者らが開発したマシンガイダンスシステムと組み合わせ搭乗操作で使用したところ、最大150mmの不陸を目標不陸以内に収めることができた。
 さらに、陸上試験での課題点の解決のため、試験装置に割石を移動させるための小型バケットを取り付け、陸上で性能試験を行った。その結果、最大の高低差400mm程度のあるマウンドを叩き均しで目標まで均すことができる程度の不陸に均すことができることを確認した。以上から、提案したアタッチメントが均し作業に有用であることが示された。

キーワード:港湾工事、水中バックホウ、均しアタッチメント、実海域試験

全文 TECHNICALNOTE1396