研究について

研究成果

インドネシア・Patimban海岸周辺海域での季節変動を考慮した土砂移動に関する現地調査

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1389 2021年09月
執筆者 中川 康之、伴野 雅之、小硲 大地、田村 仁、A.Bagyo Widagdo、Dinar C. Istiyanto
所属 沿岸環境研究領域 沿岸土砂管理研究グループ
要旨

 航路や泊地の整備においては、船舶の航行安全を確保するための水深の維持管理がまず重要となる。これに対し、河川からの流下土砂が堆積する河口域や、波浪等による漂砂が卓越する浅海域など、土砂移動が活発な海域内の航路・泊地においては、浚渫後の埋め戻しなどにも配慮しつつ、効率的な水域施設の維持管理を行う必要がある。そのためには、対象水域周辺における土砂移動の特徴を把握しておくことが重要であり、気象や海象、さらには堆積物の性状など、地域固有の自然条件への配慮が重要となることも多い。本研究では、インドネシア・ジャワ島の北西部に位置し、ジャワ海に面したPatimban海岸を対象とし、同海岸域に流入するCipunagara川の河口における現地観測を通じて、陸域から供給される懸濁物の海域への輸送過程の把握を試みた。
 現地観測は、インドネシア政府機関の一つである技術評価応用庁(BPPT)との共同研究として実施し、季節風や河川流量の季節変化に伴う土砂動態の違いの把握を目的として、2017年2月(雨季調査)および8月(乾季調査)に、対象河川の河口周辺において実施した。塩分や濁度の空間分布に関する基本データのほか、高濁水域の土砂輸送過程で重要となるFluid mud形成にも注目し、現地式浮泥密度計による基礎データの獲得を試みた。淡水供給量の季節変化に対応した海域での淡水や懸濁物の濃度分布の差異を明らかにし、さらに、淡水供給量が増大する雨季においては、河口部直近の水底では微細泥粒子の集積による、層厚15㎝程度のFluid mud層の存在が現地式密度計を用いた観測により確認された。

キーワード:ジャワ海、季節風、現地調査、懸濁物輸送、Fluid mud

全文 TECHNICALNOTE1389(PDF/1,871KB)