研究について

研究成果

MPM–剛体シミュレーションのための最小二乗法を用いた摩擦接触アルゴリズムの開発と開端杭の地盤への貫入挙動への適用

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 60-1-7 2021年06月
執筆者 中村 圭太・松村 聡・水谷 崇亮
所属 地盤研究領域 基礎工研究チーム
要旨

 本研究では、粒子と剛体の間の相互作用をシミュレートするために、particle-to-surface 接触に基づいたMPMによる新しい摩擦接触アルゴリズムを提案する。格子ベースのmultivelocity eld technique は、MPM でよく用いられる手法であるが、このようなシミュレーションを行うには以下のようないくつかの欠点がある。(1) 早期の誤接触を防ぎ、また、非貫入条件を満たすためには特別な追加処理が必要である。(2) 剛体の接触検出は、剛体を構成する粒子の配置に依存するため、その配置によっては接触検出のパフォーマンスが低下する。これらの問題を解決するために、提案アルゴリズムでは、particle-to-surface 接触に基づくペナルティ法を用いる。 しかし、粒子が剛体表面に非常に接近することがあるため、物理量が粒子から剛体内にある格子節点に輸送されてしまう可能性がある。本研究では、重み付き最小二乗法を用いることで、形状関数を構築する際にpartition-of-unity を 損なうことなく、この問題を効果的に解決する。提案したアルゴリズムは、数値シミュレーションと解析解およびFEM の結果を比較することで検証した。その結果、提案するアルゴリズムは、摩擦接触現象に対して妥当な解を得ることがわかった。 
  また、本解析手法の地盤工学問題への適用例として、開端杭の地盤への貫入問題を解いた。解析では、既往の実験の再現解析を行い比較・検証を行った。その結果、まだ改善点はあるものの、杭の支持力推定、及び開端杭の先端閉塞現象の解明に有効に活用できることが確認できた。

キーワード:MPM、摩擦接触、重み付き最小二乗法、ペナルティ法、開端杭、先端閉塞現象

全文 REPORT60-1-7(PDF/2,066KB)