港空研について 研究施設のご紹介
大型構造実験施設
安全性の高い港湾・海岸・空港構造物を経済的に建設・維持管理するためには、構造物の力学特性を十分に把握しておく必要があります。構造物やそれを構成する部材の力学特性を詳細に知りたい場合、構造物や部材の模型に実際に力を作用させて破壊させる実験が極めて有効です。 その場合、加えた力の反力の保持および模型の支持のために、高強度の床(反力床)および壁(反力壁)が必要になります。 この施設には、15m×16.5mの広さの反力床及びこれに面する高さ7mの反力壁2面を有し、港湾構造物等の大型模型試験体の載荷実験を行っています。
大型構造実験施設を活用した大規模な模型実験を通じて、港湾・海岸・空港構造物の力学特性が明らかとなり、安全性や使用性といった構造性能の定量的な評価が可能となります。これにより、新設構造物の合理的な設計法・照査法を確立するとともに、既存構造物の有効活用のためのマニュアル類を策定しています。
反力壁・反力床
大型構造実験には、試験体に加える力の反作用に耐える壁と床が必要とされます。それを一般に反力壁と反力床(または耐力壁と耐力床)と呼びます。当施設の反力壁と反力床はプレストレストコンクリート製で、設計許容曲げモーメントは幅1m あたり2000kNm,設計許容せん断力は幅1m あたり1000kNです。また、反力壁は直交する2面からなり、水平2方向からの載荷が可能です。
施設全景
アクチュエータ
アクチュエータは、試験体に加力するための装置で、電気油圧サーボ方式によりコンピュータ制御されています。大型構造実験の目的に応じて、1000kN アクチュエータ、500kN アクチュエータおよび200kN アクチュエータを使用できます。移動式水槽を併用し、コンクリートはり(梁)部材の水中疲労試験を行ったり、反力壁に取り付けて大型橋脚模型試験体の正負交番載荷実験を行ったりします。
制御用コンピュータシステムは,高性能なワークステーションを中核として構成されており、大型計算機やPCなどとLAN接続されています。アクチュエータを駆動する油圧源は、作動油として鉱物系油を用いており、吐出量220m/min、吐出圧力21MPa、オイルタンク容量900リットルの性能を有しています。
変位制御式載荷装置
コンクリート試験体などの載荷試験を変位制御方式で行うときに使用されます。定格出力は、静的400kN,動的 320kNです。定格ストロークは100mm で、繰返し速度は0.0001~100Hzの範囲で選択可能です。最近では、コンクリートの耐疲労性試験・耐衝撃性試験、補修材の長期疲労耐久性試験などに使われています。
万能試験機
定格出力1000kN のアムスラー型万能試験機で、コンクリート供試体の圧縮試験、割裂引張試験および曲げ試験や鉄筋の引張試験などに使われています。
曲げ試験機
定格出力 100kN、定格ストローク 200mm の性能を有する曲げ試験機です。支点間距離にして約 3000mm までの曲げ載荷が可能です。軽量コンクリート製RCはりや塩害により劣化したRCはりの曲げ載荷試験などに使われています。
実験の一例
重錘落下式衝撃載荷装置を用いたコンクリート版の載荷実験