津波による油流出に関する拡散予測

津波による油流出に関する拡散予測

 東日本大震災では日本各地で大きな被害が発生しました.港湾施設においては製油所,火力発電所といった大規模な貯油タンクを持つ施設や,工場,漁船等の給油を目的とした中小規模な貯油タンクを持つ施設があり,それらも大きな被害を受けています.消防庁が行ったアンケート結果1)によりますと,屋外タンク貯蔵所からの油流出量は確認されているだけで46,000kLを超えています.これは1997年に日本海で発生し,甚大な被害をもたらしたナホトカ号重油流出事故の流出量の約10倍です.

 ひとたび油流出が発生し海上に広がると,船舶の港への入港や係留ができないため,緊急物資の運搬に大きく影響を及ぼします.油が陸上にまで運ばれると津波火災,港湾施設が使用できない,悪臭,毒性による人体への影響といった問題が発生します.また,遡上した津波の濁水中の土粒子に重油が付着し,海底に沈降することで長期的な環境問題,風評被害を引き起こします.

 港湾空港技術研究所では流出油の漂流予測に関する数値計算の開発2),及び高潮津波シミュレータの開発3)を行っています.これらを組み合わせて,津波による油流出に関する数値計算法の開発に取り組んでいるところです.今後は東海・東南海・南海地震津波による被害も予想され,数値計算による津波による油流出・拡散の予測技術の開発は不可欠であり,喫緊の課題であると考えています.

参考文献:

1)消防庁消防研究センター:第15回消防防災研究講演会資料,2012

2)松﨑義孝・藤田勇:油拡散を考慮した流出油の数値計算法の開発,港湾空港技術研究所資料, No.1255,2012

3)富田孝史・柿沼太郎:海水流動の3次元性を考慮した高潮・津波数値シミュレータSTOCの開発と津波解析への適用,港湾空港技術研究所報告,2005

 

  • 独立行政法人 港湾空港技術研究所

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