沿岸土砂管理研究グループ

後浜における飛砂量と砂草との関係

Coastal and Estuarine Sediment Dynamics Group

波の影響を受けて常に変形している前浜(波打ち際の領域)の陸側には変形の比較的小さい後浜と砂丘が存在する(図-1)。この領域は、前浜が侵食されたとき、あるいは波が前浜を越えたときに、背後地を波から守る第2次防護施設としての機能を有しており、防災上、重要な空間である。そこで、後浜における底質移動特性を把握するために、海から陸にかけての風が卓越する波崎海洋研究施設近傍の海岸において、海岸砂丘前面から汀線近傍までの領域における植生、地形変化ならびに風向・風速に関する現地観測を行った。図-2は観測領域の様子を示したものであり、図-3は観測領域で卓越する砂草、コウボウムギを示している。

地形変化と砂草との関係を検討したところ、高さ10cm程度の植生が後浜における飛砂量(風で移動する砂の量)や地形変化に影響を与えることが明らかになった。すなわち、植物が繁茂しているときには、陸向きの飛砂量が植生の海側限界点から陸にかけて急激に減少した(図-4(b))のに対して、植物が枯れているときには、陸向きの飛砂量の減少は砂丘に近い領域で生じていた(図-4(a))。

図-1 後浜から海岸砂丘にかけての断面(横軸は沖方向距離,縦軸は地盤高さ)

図-1 後浜から海岸砂丘にかけての断面(横軸は沖方向距離,縦軸は地盤高さ)

図-2 観測領域の様子

図-2 観測領域の様子

図-3 コウボウムギ(夏には高さ10cm程となる)

図-3 コウボウムギ(夏には高さ10cm程となる)

後浜における飛砂量と砂草との関係