沿岸土砂管理研究グループ

植生が後浜地形変化におよぼす影響

Coastal and Estuarine Sediment Dynamics Group

後浜は、高潮から背後地を護るとともに背後地への飛砂を抑制するための重要な空間となっている。後浜には、パッチ状に植物が存在しており、これらの植物には飛砂を捕捉する効果と飛砂の発生を抑制する効果のあることが明らかになってきている。つまり、植物が後浜地形変化に影響をおよぼしている。そこで、後浜における地形変化を植生の有無に注目した現地調査をもとに検討した。その結果、植生の有無によって地形変化に違いのあることが分かった。つまり、植生がある後浜の地盤高は上昇するのに対し、広い範囲で植生が無くなった後浜の地盤高は低下した。これは、植物による飛砂の捕捉に原因があると推察された。次に、後浜を保全するための対策工を試験施工しその効果を比較検討した結果、マツバギクは、飛砂の捕捉効果が顕著で、植栽した範囲の地盤高は短期間で上昇した。これは、マツバギクが年間を通じ常緑で、垂直上方に生育する能力に優れることが原因と推察された。

図-1 調査対象範囲

図-1 調査対象範囲

図-2 地盤高の経年変化と植生の有無

図-2 地盤高の経年変化と植生の有無

図-3 対策後の地盤高変化

図-3 対策後の地盤高変化

写真-1 堆積したマツバギク植栽範囲

写真-1 堆積したマツバギク植栽範囲