沿岸土砂管理研究グループ

砕波帯における底質の浮遊特性

Coastal and Estuarine Sediment Dynamics Group

砕波帯内では浮遊による底質移動量の方が底面近傍における掃流状態の底質移動量よりも卓越すると考えられる。また、荒天時は砕波帯内では長周期波が発達する。そこで、長周期重複波の発達した荒天時の砕波帯内において浮遊砂濃度、流速、水位の現地観測を波崎海洋研究施設で行い(-1、2)、長周期重複波領域における底質浮遊に及ぼす長周期波の影響を検討した。その結果、浮遊砂濃度変動は、最も発達した長周期成分(100s)よりも、観測地点が節となる長周期重複波(61s)ならびに観測地点が岸側の腹と沖側の節の中間に位置する長周期重複波(32s)との相関が高かった(図-3)。前者の場合、岸沖方向流速が岸向きに加速する位相、すなわち岸側よりも沖側の水面勾配の方が相対的に高くなる位相において浮遊砂濃度が高かったのに対して、後者の場合、観測地点での水位が平均水位よりも高くなり水面勾配としては岸側が高い位相で浮遊砂濃度が高かった。

図-1 夜間における計測器の設置作業

図-1 夜間における計測器の設置作業

図-2 観測地点を通過する波の様子

図-2 観測地点を通過する波の様子

図-3 水位h,岸沖流速v,浮遊砂濃度Cのクロススペクトル

図-3 水位h,岸沖流速v,浮遊砂濃度Cのクロススペクトル
(a)パワースペクトル、(b)コヒーレンス、(c)位相。