日本周辺における波パワーの特性と波力発電
発行年月 | 1989年6月 港湾空港技術研究所 資料 0654 |
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執筆者 | 高橋重雄,安達崇 |
所属 | 水工部 耐波研究室 |
要旨 | 波エネルギー変換装置を用いて波エネルギーを利用するとき,波エネルギーの平均量とその変動性を把握しておく必要がある.ここでは,波浪観測データに基づいて日本周辺の平均的な波エネルギーの量とその変動特性を検討した.ただし,正しくいえば波エネルギーではなく波エネルギーの輸送率,すなわち波パワーについて検討している. 日本周辺の波パワーの総平均量は3600万kWで,これを日本を囲む仮想の折れ線の長さ5200kmで除すと,約7kW/mとなる.波パワーは太平洋岸の関東以北や日本海側の北陸・東北沿岸で大きい.波パワーの変動性は著しく,季節的変動のみならず日々の変動も大きい.特に日本海側での季節的な変動が顕著である. 波エネルギーの利用にとってこうした変動性は大きな障害となる.波エネルギー変換装置の側からこの変動性を定量的に表す一般的な指標はない.ここでは,波力発電装置を対象に,波浪観測データに基づく発電シミュレーションを行い,変動性の影響を検討した.変動性が波力発電に及ぼす影響は,シミュレーションから得られる発電機稼働率,最小必要蓄電容量,運転時間率,定格運転時間率等の実用的なパラメータによって把握できることがわかった. 波エネルギーの利用を促進するためには,変動性を問題としないような用途に用いるなど種々の考慮が必要である. |
全文 | no0654.pdf(PDF/2.5MB) |