ISK003(K-NET輪島)のサイト増幅特性再評価

ISK003は野津・長尾(2005)によるサイト増幅特性の評価では使用地震記録数が1と少なかった.そこで,ISK003の近傍で使用記録数が4であるISKH02からの松補正(地震記録のフーリエスペクトル比を用いた補正)によりISK003のサイト増幅特性を再評価した.ISKH02はすべて地表の記録を用いた.補正に使用した地震を表-1,図-1に示す.

表-1 補正に使用した地震一覧
日   時刻  Mj  latitude  longitude  depth
(km)
2024/01/23   02:13  4.2  37.1943  136.7285  5
 2024/01/26  09:32  4.3  37.3335  136.8437  5
 2024/01/26  14:40  4.4  37.1583  136.6157  11
 2024/02/01  08:07  4.5  37.3447  136.7770  11
2024/02/04   01:16  4.1  37.4655  137.2540  5
 2024/02/06  11:56  4.1  37.1975  136.8417  8
 2024/02/07  06:08  5.2  37.7317  137.5848  8
 2024/02/11  12:35  4.7  37.4340  137.1780  14
 2024/02/14  10:32  4.5  37.2157  136.7852  5
 2024/02/15  12:48  4.9  37.8812  137.7575  5
 2024/02/15  15:29  5.0  37.5542  137.6182  5
震源深さはF-netによる手動推定結果,その他は気象庁による震源情報.
図-1対象地点と補正に使用した地震位置
図-1対象地点と補正に使用した地震位置

ISK003とISKH02での観測フーリエスペクトルの比較を図-2に,これら記録のフーリエスペクトル比をとり重ね書きしたものを図-3に示す.図-3で灰色の線は個々の記録の比,黒線はこれらの幾何平均である.なお,フーリエスペクトルは水平2成分の自乗和平方根であり,バンド幅0.05 HzのParzenウインドウで平滑化している.また,スペクトル比の算定にあたり距離補正は行っていない.多少のばらつきはあるが,2Hz以下でISK003の方がISKH02よりも全体的に大きい傾向にあることが分かる.

図-2 観測フーリエスペクトル比較
図-2 観測フーリエスペクトル比較
図-3 フーリエスペクトル比
図-3 フーリエスペクトル比

11地震のフーリエスペクトル比(ISK003/ISKH02)の幾何平均をISKH02のサイト増幅特性に掛けることでISK003のサイト増幅特性を評価した.結果を図-4に示す.また,野津・長尾(2005)によるISK003のサイト増幅特性と今回評価した結果の比較を図-5に示す.今回の補正により,およそ0.7Hz以下で従来のサイト増幅特性より小さなものとなったが,0.7Hz以上ではほぼ一致する結果となった.再評価されたISK003のサイト増幅特性をテキストファイルに示す.

図-4 サイト増幅特性補正結果
図-4 サイト増幅特性補正結果

図-5 新旧サイト増幅特性比較
図-5 新旧サイト増幅特性比較