金沢港

(解説)金沢港は2024年1月1日能登半島地震(M7.6)の地震動を受けている.このとき金沢港の強震観測地点「金沢-C」で観測された地震動を等価線形解析(FDEL)で工学的基盤の2E波に変換し,金沢港におけるレベル1地震動と比較した.その際,「金沢-C」のサイト増幅特性を用いて能登半島地震後に再設定された9318番のレベル1地震動を比較の対象とした.その結果,金沢港では,当該地震の地震動はレベル1地震動を上回っていたと考えられる(図1).したがってこの地震の際に存在していた施設で被害を受けなかった施設については,その後のさらなる高経年化の影響を除けば,レベル1地震動に対して十分な耐震性能を有していると判断できる.

図1 金沢港におけるレベル1地震動図1 2024年1月1日能登半島地震(M7.6)の地震動
図-1 金沢港におけるレベル1地震動と2024年1月1日能登半島地震(M7.6)の地震動の比較.フーリエスペクトル(バンド幅0.05HzのParzenウインドウを適用).各プロットに付与されている数字はPSI値.

(参考情報)表1は等価線形解析に用いた地盤モデルで,強震計位置(金沢-C)のボーリングデータに基づき設定した.

表-1 等価線形解析に用いた地盤モデル
層厚(m) S波速度(m/s) 密度(103kg/m3
1.0 182.0 2.0
1.0 182.0 2.0
1.0 197.0 2.0
1.0 226.0 2.0
1.0 245.0 2.0
1.0 231.0 2.0
1.0 182.0 2.0
1.0 165.0 2.0
1.0 174.0 2.0
1.0 231.0 2.0
1.0 249.0 2.0
1.0 283.0 2.0
1.0 308.0 2.0
1.0 331.1 2.0
- 341.0 2.0

※各層のひずみ依存曲線は北澤他(1981,港研資料No.396)が既存の実験結果を整理して求めたものを用いた.