2016/8/12 |
K-NET熊本(KMM006)とKiK-net益城(KMMH16)のサイト増幅特性の再評価
-デジタルデータ付き- |
担当:長坂,野津 |
(1) 目的
K-NET熊本(KMM006)とKiK-net益城(KMMH16)では,もともと野津・長尾(2005)により経験的サイト増幅特性が評価されていた.しかし,KMM006は2015/03/13に移設されており,野津・長尾(2005)のサイト増幅特性と熊本地震本震(2016/04/16)時のサイト増幅特性が異なる可能性がある.また,野津・長尾(2005)ではKiK-net益城(KMMH16)のサイト増幅特性は観測記録2個のみから決定されており,信頼性が低い.
そこで,本検討では以下の①~③の検討を行う.
①KMMH16のサイト増幅特性をKMM006との観測スペクトル比とKMM006の移設前のサイト増幅特性(野津・長尾,2005)から求める.スペクトル比に用いる観測記録は2015/03/13以前のもののみ用いる.
②移設後のKMM006のサイト増幅特性をKMMH16との観測スペクトル比と①で求めたKMMH16のサイト増幅特性から求める.スペクトル比に用いる観測記録は2015/03/13以降のもののみ用いる.
③以上より求められたKMM006(移設後)とKMMH16のサイト増幅特性を野津・長尾(2005)のサイト増幅特性と比較し,違いの程度を調べる.検討フローを図-1に示す.
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図-1 検討フロー
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(2) KMM006(2015/03/13以前)⇒KMMH16地表
表-1に使用した地震のリストを示す.図-2に観測スペクトルの比較を示す.図-3にフーリエスペクトル比(KMMH16/旧KMM006)を示す(赤線は対数平均).図-4の赤線はKMMH16(地表)のサイト増幅特性の算定結果である.左は算定の際に使用した旧KMM006のサイト増幅特性との比較.右は従来のKMMH16(地表)のサイト増幅特性との比較.従来のサイト増幅特性と再評価したサイト増幅特性との間に大きな違いは無かった.なお,本検討で用いるフーリエスペクトルはすべて水平2成分の自乗和平方根でバンド幅0.05HzのParzenウインドウを適用したものである. |
表-1 使用地震リスト
date |
time |
lat. |
lon. |
MJ |
MW |
2002/05/20 |
22:19 |
32.6420 |
130.8145 |
4.2 |
3.9 |
2002/09/02 |
05:48 |
32.7248 |
130.8068 |
3.8 |
3.6 |
2005/01/15 |
15:42 |
32.6345 |
130.8453 |
4.1 |
3.9 |
2011/10/05 |
23:33 |
32.9140 |
130.8503 |
4.5 |
4.4 |
2012/03/12 |
07:58 |
32.9200 |
130.8550 |
3.9 |
3.8 |
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図-3 フーリエスペクトル比(KMMH16/旧KMM006)(赤線は対数平均)
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図-4 KMMH16(地表)のサイト増幅特性の算定結果(赤線).左は算定の際に使用した旧KMM006のサイト増幅特性との比較.右は従来のKMMH16(地表)のサイト増幅特性との比較.
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(3) KMMH16地表⇒KMM006(2015/03/13以後)
表-2に使用した地震のリストを示す.図-5に観測スペクトルの比較を示す.図-6にフーリエスペクトル比 (新KMM006/KMMH16)とその対数平均を示す.フーリエスペクトル比は本震前後で変化しているようにも見えるが,ここでは本震前後の8地震の対数平均を用いて新KMM006のサイト増幅特性の算定を行う.図-7に新KMM006のサイト増幅特性の算定結果(G_KMM006_2016)を示す.図-7右に示すように,移設前後のKMM006のサイト増幅特性に大きな違いは見いだされなかった. |
表-2 使用地震リスト
date |
time |
lat. |
lon. |
MW |
2016/04/14 |
21:26 |
32.7417 |
130.8090 |
6.1 |
2016/04/14 |
22:38 |
32.6768 |
130.7350 |
4.9 |
2016/04/14 |
23:43 |
32.7670 |
130.8270 |
4.9 |
2016/04/15 |
00:03 |
32.7007 |
130.7780 |
6.0 |
2016/04/15 |
01:53 |
32.7008 |
130.7530 |
4.7 |
2016/04/16 |
7:23 |
32.7867 |
130.7740 |
4.6 |
2016/04/16 |
8:20 |
32.7015 |
130.6790 |
4.5 |
2016/04/16 |
14:27 |
32.6508 |
130.7432 |
4.5 |
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図-6 フーリエスペクトル比(新KMM006/KMMH16)(左)とその対数平均(右)
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図-7 新KMM006のサイト増幅特性の算定結果(G_KMM006_2016).左は算定の際に使用したKMMH16のサイト増幅特性(地表;再評価されたもの)との比較.右は移設前後のKMM006のサイト増幅特性の比較
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(4) デジタルデータ
本検討で算定した移設後のK-NET熊本(KMM006)のサイト増幅特性と,再評価したKiK-net益城(KMMH16)のサイト増幅特性の数値データをテキストファイルに示す. |
謝辞:防災科学技術研究所のK-NET,KiK-netの記録を利用しています.記して謝意を表します. |