2011/6/7
2011年東北地方太平洋沖地震による仙台塩釜港(仙台港区)高砂埠頭における地震動の事後推定(第2版)
(2011/6/30に修正しました)

高砂埠頭の埋土を含むPS検層結果の提供を受けたので,工学的基盤における推定地震動の改訂を行った.地表における地震動の推定までは第1版と同様である.今回用いた地盤モデルは表1に示すとおりである.線形の重複反射理論により工学的基盤(表1におけるS波速度520m/sの地層)での2Eを求めた.結果を図1に示す.推定された2E波の数値データをテキストファイルに示す.ここでの推定地震動の対象周波数は0.2Hz以上である.

 

表1 高砂埠頭の新しい地盤モデル
層厚(m) S波速度(m/s) 密度(g/cm3) 減衰定数
3.00 160.0 2.000 0.03
4.00 110.0 2.000 0.03
4.00 190.0 2.000 0.03
4.00 180.0 1.568 0.03
4.00 220.0 1.642 0.03
6.00 160.0 1.495 0.03
10.00 290.0 1.715 0.03
520.0 2.100
図-1

図1 推定された高砂埠頭の工学的基盤における2E波

推定の各ステップで登場した地震動のフーリエスペクトルの比較を行う.図2に示すように,仙台-Gでの地震動と高砂埠頭での地震動には大きな違いがあり,地震基盤~工学的基盤の増幅特性の場所による違いが大きいことがわかる.

図-2

図2 各種の地震動のフーリエスペクトルの比較

ここに推定された地震動はあくまでも高砂埠頭でのものであるが,第1版の図4に示すように高砂埠頭と高松埠頭ではサイト増幅特性は大きくは異ならないと考えられるため,高松埠頭に対しても適用可能であると考えられる.また,雷神埠頭での地震動は,高砂埠頭や高松埠頭に比べ,岸壁に対して影響を及ぼしやすい成分がやや少なかった可能性があるが,安全側の解析を目的とする場合には,ここで得られた地震動が適用可能である.ただし,ここで得られた地震動はS波速度が520m/s程度の地層における2E波であるため,解析に用いる場合,S波速度がこれと大きく異ならない地層における2E波として用いる必要がある.