2004年9月5日紀伊半島沖の地震による港湾・空港での強震記録
1. 神戸港・大阪港の記録
図-1 は神戸港の複数地点でのフーリエスペクトル(水平2成分のベクトル和)を比較したものである. 六甲-G(六甲アイランド)でのフーリエスペクトルが飛び抜けて大きい. 六甲-Gは他の二地点と比較して堆積層の厚いところに位置している. 震源距離の差はほとんど無いのでサイト特性の差と考えられる. 今回の地震では表層地盤が非線形挙動を示さなかったため差が顕著に出た可能性はある. 大阪港の二地点の記録は六甲-Gの記録と似通っている. 六甲-Gのある六甲アイランド南側岸壁は兵庫県南部地震の際, 神戸港の中でも最も顕著な被害を受けた場所の一つである (写真-1).
図-2 は六甲-Gでのこれまでの主要な記録を比較したものである(今回の2地震および2001年芸予地震). いずれの記録も周期2秒と6秒に顕著なピークがある. この場所では,苫小牧と異なり, 地震動の卓越周期はかなりサイトスペシフィックに決まっているように見える.


2. 関西国際空港の記録
関空の地表の四点でのスペクトルには大差がない (図-3). そこでW地点に着目して主な記録のスペクトルを比較すると, マグニチュードが大きくなるにつれて卓越周期が多少長周期側に移動する傾向は見られるものの, その傾向はあまり顕著でなく, 関空でも地震動の卓越周期はかなりサイトスペシフィックに決まっているように見える(5秒程度). (図-4


3. 東海地方の港湾の記録
清水港は,名古屋港より震央距離が大きいにも関わらず,周期6秒の成分は名古屋港を上回った. (図-5図-6