蒸気エジェクタを利用した油回収

蒸気エジェクタを利用した油回収

 蒸気エゼクタを用いた油回収装置について実験的に検討しました.海上に流出した原油,重油はエマルション(乳化,マヨネーズ状)を形成し,体積の増加と共に,時として1,000,000mPa.sといった高い粘度を示すようになります.こうしたレオロジー的な変化(油の流体特性の変化)は現場における油回収を非常に困難なものとしています.

 蒸気エゼクタはこのような問題に対して,従来広く用いられてきた油回収機には無い有利な点を有しています.蒸気の凝縮に伴い発生する熱による急速加熱は高粘度油の吸引管内部の流れを促進します.またエゼクタ内部の超音速流の蒸気流は非常に強い攪拌力を有しています.これにより薬剤を添加した際の油と水の分離による粘性の低下(エマルション分解反応)を促進します.本研究ではこのような効果を持つ蒸気エゼクタを油回収に応用することを目的に,蒸気エゼクタによる吸引式油回収機の小型模型を製作し,実験により油回収能力を検証しました.

 試験ではエゼクタの吸引特性の把握に始まり,小型模型における油回収率,油水比,蒸気消費率などを測定するとともに,波浪などの影響を検証しました.合わせて蒸気エゼクタ吸引におけるエマルジョンブレークの効果等を検証しました.蒸気エゼクタが油回収あるいは対応において優れた性能を示すことが明らかとなりました.

 ここで開発された油回収機は国土交通省中国地方整備局の海面清掃船「おんど2000」に搭載されています.

参考文献:藤田勇・吉江宗生・竹崎健二:流出油回収装置への蒸気エゼクタの応用,港湾空港技術研究所報告,2009

 

  • 独立行政法人 港湾空港技術研究所

ページの先頭へ戻る