基礎工研究グループ

製鋼スラグ混合土の力学特性に関する研究

Foundations Group

 港湾では、航路、泊地の拡幅・増深などにともなう浚渫工事で大量の浚渫土が発生します。これらの浚渫土の多くはこれまで埋立地(処分場)に投入されてきました。しかしながら、近年、処分場の確保が困難になってきていることから、浚渫土の利用拡大が大きな課題となっています。浚渫土は非常に軟弱であり、そのままの状態では利用が難しいため、セメントなどを添加し、浚渫土を改質することで地盤材料として利用することが一般的です。

 浚渫土の改質方法の一つとして、近年、浚渫土に製鋼スラグを混合し改質・固化する方法が研究されています(以下、製鋼スラグ混合土)。改質に用いられる製鋼スラグは、鉄鋼を製造する際に転炉による製鋼工程で得られる副産物で、転炉系スラグと呼ばれるものです。製鋼スラグは、これまで路盤材料やアスファルト混合物用骨材、サンドコンパクションパイルの中詰材などに単身で利用されてきましたが、更なる用途の拡大が模索されています。

 既往の研究により、製鋼スラグ混合土の基本的な力学特性や海域底質の浄化効果があることなどが確認されています。しかしながら、得られる強度が使用する浚渫土や製鋼スラグの特性(産地・組成など)に大きく影響されるなど、製鋼スラグ混合土の配合・混合条件と力学特性・強度の関係には未解明な点が多く残されています。そこで基礎工研究チームでは、製鋼スラグ混合土の配合・混合条件が強度特性に及ぼす影響等について研究を行っています。

 これまでの研究により、製鋼スラグ混合土の固化を支配する要因や製鋼スラグ混合土の配合条件の考え方、製鋼スラグ混合土の破壊パターンなどが明確になってきています。得られた知見を配合設計や現地での施工管理に活用できるよう引き続き研究を行ってまいります。

<参考文献>

平井壮・水谷崇亮・菊池喜昭・川端雄一郎(2012):製鋼スラグ混合土の配合・混合条件がその力学特性に与える影響について,港湾空港技術研究所報告,第51巻第3

http://www.pari.go.jp/cgi-bin/search-ja/detail.cgi?id=20121221135941

浚渫土

浚渫土

製鋼スラグ

製鋼スラグ

製鋼スラグ混合土

製鋼スラグ混合土