感潮湖湖口に建設された導流堤周辺の地形変化

  浜名湖やサロマ湖,能取湖などの感潮湖の湖口周辺の地形は波浪のみならず潮流の影響を受け複雑に変化している.このような場に構造物を建設すると,当然のことながら波浪のみの影響を受ける連続した砂浜海岸に建設された構造物の場合と異なる地形変化が引き起こされると考えられる.そこで,静岡県浜名湖今切口(図-1)において導流堤の建設中および建設後の37年間に取得された28枚の深浅データを経験的複素固有関数法などによって解析した.

 その結果,明らかになった地形変化および土量変化の特徴は以下の通りである.導流堤建設後,まず,漂砂上手側の湖口東側(東側導流堤の東側)において堆積が進行した(図-2 領域A,B,C).続いて,湖口東側の地形が平衡状態に近づき湖口東側の堆積量が減少すると,湖口の導流堤先端を回って湖口西側へ供給される土砂量が増大し,湖口西側の領域における堆積量が増大した(図-2 領域H,G,F).さらに地形変化が進むと,漂砂下手側の湖口西側の地形も平衡状態に近づき,湖口東側および西側の土砂の堆積量が減少した.沖のデルタに捕捉された土砂の量を推定し,デルタの土量に関する過去の調査結果と比較したところ,2000年においてはデルタはほぼ平衡状態に達していると推定された.両導流堤に挟まれた領域では,引き潮によって生じた深み(ebb tidal channel)が導流堤建設後,深くなった.浅瀬の移動に注目すると,解析期間の前期においては,湖口両側の浅瀬は岸向きに移動していたけれども,解析期間中期では,湖口の漂砂上手側では浅瀬が沖向きに移動していた.

図-1 解析領域における地形(1992年測量)と導流堤建設の経緯(等深線の単位はm)

図-2 解析領域の各領域のおける土量変化

ページの先頭へ戻る