海浜流の非定常過程に関する数値的検討

論文概要

海浜流の非定常過程に関する数値的検討

沿岸に見られる海浜流の非定常な挙動を波の場の空間分布および時間変動によって励起される海浜流の非定常な応答と考え,その特性を解析的・数値的に検討し,沿岸流の発達過程と底面摩擦との関係,波群の入射に対する沿岸流の応答を数値的に明らかにすることによって,現地観測された沿岸流速の長周期変動現象が生じる原因について考察を行ったものである.

 

離岸流の消長や寄せる波の遡上の不規則性でわかるように,海浜流や波の遡上は,極めて非定常な現象であり,これらを励起する波の振幅と位相の変化によって空間的時間的に変動する.
沖から来襲した波は,浅海域を伝播する過程で海底地形や構造物の影響を受け,屈折,浅水変形,砕波変形,回折,反射によって,波高や波向きが変化する.こうした波浪変形を波の位相を含めて精度よく推定することが,波の遡上を含めた海浜流を計算する上で重要となる.
ここでは波の計算には非定常緩勾配方程式(5)を,流れの計算には非線形長波の式(6),(7)を用い,相互に干渉させつつ,時間発展的に求解した.

 


 

5波を一波群とする繰返し周期で入射波の振幅を25%変動させた平均波高1m,周期9sの波群を斜め64°で入射させた場合の波の伝播の様子を示す.波群の高波・低波の位相が揃った状態で伝播し,岸沖方向に波群が伝播すると同時に,沿岸方向にも波群の位相による波高の分布の極大・極小を繰り返す分布が移動する.

上の図と同位相での波による平均水面の上昇・低下の状態,および,海浜流の状態を示す.波群の高波の下では水面が大きく低下している.


 

沿岸流速の最大値が発生する岸沖距離315m地点における平均水位,岸沖流速,沿岸流速の応答を示す.静止水面の初期状態から入射する波群に対して,平均水位・岸沖流速は初め大きく振動するが,その後は波群の繰り返し波数で,一定変動幅で振動する.
沿岸流速については,先頭波の到達時に急激な変動をすることはなく,徐々に増加し,岸沖流速と同様に波群の繰り返し波数で流速値が振動する.

岸沖断面における砕波帯内の沿岸流速が極大値となる位相での波高と沿岸流速の分布である.この時,砕波域での波高は極小から極大に向かう位相であり,砕波開始位置は沖へ移動している.砕波開始付近の波高の岸沖勾配が大きくなることによって,岸向き流速が生じるとともに,沿岸方向の波高勾配も大きくなることによって,沿岸流速が生じている.

 


 

その他
斜め入射波に対する沿岸流の発達を解析的に求め,流速と収束時間に対する波向,底面摩擦の影響を示した.

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