沿岸地盤動態に関わる包括的研究: 防災・減災・環境保全の横断研究
液状化対策の設計法をより合理的なものにするため、 模型振動台実験により液状化対策を行ったケーソン岸壁や周辺地盤の挙動を観察・検討しています。実験では、対策範囲を種々変更しながらケーソン岸壁を作製して振動実験を行っています。 実験では、 あらかじめ地盤内に色砂を縞状に入れておき、 地盤の変状がアクリル板を通して目視観察できます。詳細な変形、水圧などのデータは各種センサーにより収録され、解析されています。今後は、同様な実験を行ない、データを蓄積していき、数値計算などにより解析し液状化対策の設計法をより詳細に検討していく予定です。
静的圧入締固め工法の概要図
港湾の工事では、しばしば締固めによる地盤対策が行われます。通常の締固め工法は振動・騒音が大きく構造物近傍では適用が困難で、構造物直下地盤に対しては適用が不可能です。このようなことから、地盤内に注入孔を削孔し、注入孔からモルタルを圧入して地盤を静的に締固める工法が開発されています。このような工法の締固めメカニズムを詳細に検討し、より高度な設計法について検討を行っております。図は、静的圧入締固め工法の概要図です。
サクション基礎沈設の概念図
サクション基礎は、茶筒のふたのような形状をした基礎で、海底地盤に設置し、内部の水を吸い出すことによって地盤中に貫入された基礎です。同基礎は防波堤や岸壁の基礎として実用化されています。しかしながら、同基礎の設計法は従来からのマウンド基礎の設計法を援用したもので、基礎が地盤内に貫入されているという特性が活かされていません。このようなサクション基礎の設計法を改良することを目的に、波浪荷重が作用した場合の基礎の動的応答に関して解析を行っています。図は、サクション基礎沈設の概念図です。
海底地盤は波浪の作用によっても、地震時と同じように液状化することが知られています。液状化は地震時の被災に見られるように構造物に大きな影響を及ぼす可能性があります。このようなことから、波浪による海底地盤の液状化および構造物への影響を解析することを目的とした数値計算プログラムの開発を進めており、大規模波動地盤総合水路あるいは現地観測データなどを利用してプログラムの検証などを行います。