チリとの共同研究の意義

チリは、南米の太平洋側に位置し、南北に約4300 km、幅180 kmの細長い国です。日本と同様に環太平洋火山帯に位置し、すぐ沖合にはナスカプレートが南アメリカプレートの下に潜り込むプレート境界があり、これまでにも繰り返し海溝型地震が発生しています。例えば、1960年にはマグニチュード9.5の大地震による大きな地震・津波災害が発生しています。

2010年にはチリ中部のマウレ州の沿岸でマグニチュード8.8の大地震が起こり、それによる津波がチリの沿岸部を襲いました。さらに、チリの北部には地震空白域があり、そこで近い将来海溝型の大地震が発生することが危惧されています。2010年の津波の時の教訓や将来起こる危険性のある津波への備えから、チリでは津波警報システムの見直しや津波ハザードマップの整備が行われるなど、津波防災のニーズは高くなっています。日本とチリとの共同研究を通じて、日本におけるこれまでの研究成果を活用し、総合的な津波防災に係る科学技術や津波研究者の育成などをより一層進展させることに強い期待が寄せられています。

さらに、チリは1999年に締結した「日本・チリ・パートナーシップ・プログラム(JCPP)」に基づいて日本と共同で中南米諸国に対する技術協力を行ってきています。このシステムを活用することで、チリに導入した津波防災技術を中南米諸国に展開することも容易であると考えられます。

チリ国沿岸で発生する津波は、チリだけでなく日本の津波防災においても重要なテーマです。1960年チリ地震の際には、津波は太平洋を約1日かけて横断して、日本の太平洋沿岸全域に5~6 mの津波として来襲しました。このときには死者・行方不明者142人、全・半壊家屋約3500棟の被害が発生しています。さらに、2010年チリ・マウレ地震津波の際にも、排水溝を逆流した津波による浸水、養殖施設の流失など約64億円の水産業の被害が日本で発生しています。今後もチリ沿岸で起きる地震津波が日本に来襲することは明白です。そのような津波に対する備えをすることも日本にとって必要です。

 

 

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