環太平洋諸国の砂浜の侵食がエルニーニョ・南方振動の影響を受けていることを解明

平成27年9月22日
国立研究開発法人 港湾空港技術研究所

環太平洋諸国の砂浜の侵食が
エルニーニョ・南方振動の影響を受けていることを解明

国立研究開発法人港湾空港技術研究所(理事長:高橋重雄)の栗山善昭研究主監、伴野雅之主任研究官を含むアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、日本の研究グループは、エルニーニョ、ラニーニャなどの自然現象が環太平洋諸国の砂浜の変動に与える影響を明らかにしました。具体的には、エルニーニョ現象発生時の冬季には、アメリカのカリフォルニアとハワイ、日本の茨城県沿岸で大きな侵食が生じやすいこと、一方、ラニーニャ現象発生時の冬季にはアメリカ西海岸北部(カリフォルニアよりも北)やオーストラリアで侵食が生じやすいこと、などを明らかにしました。本研究成果は、2015年9月21日16:00(グリニッジ標準時)付けで地球科学の専門誌Nature Geoscience(ネイチャー ジオサイエンス)に掲載されます。また、当該号の表紙に、当所所有の現地観測施設で撮影された荒天時の波の遡上の様子の写真が掲載されます。今後の気候変動によってエルニーニョ現象およびラニーニャ現象の発生頻度が増大することが予想されており、本研究成果は、そのような気候変動の影響を受けて環太平洋諸国で海岸侵食が増大することを示唆するものであり、日本においてもその対策が急がれます

プレスリリースの内容はこちら(PDF/214KB)

 


【背景】
日本のみならず世界中で砂浜が減少している状況のもと、エルニーニョ現象などに代表される地球規模の自然現象が砂浜の侵食に与える影響が世界で調べられてきています。日本の茨城県波崎海岸では、エルニーニョ現象発生時の秋季に、
より侵食が進行することが明らかとなっていました(2012年の栗山らのGeophysical Research Letters発行の論文)。
しかしながら、より広域(例えば、環太平洋など)における砂浜変動とエルニーニョ現象などの自然現象との関係を統一した手法で解析した検討はありませんでした。

【内容】
今回、国立研究開発法人港湾空港技術研究所の栗山善昭研究主監、伴野雅之主任研究官を含むアメリカ、カナダ、
オーストラリア、ニュージーランド、日本の研究グループが、環太平洋諸国の48海岸を対象として、エルニーニョ、
ラニーニャなどの自然現象が砂浜の変動に与える影響を検討しました。 解析を行った48海岸の内訳は、ニュージーランド(7海岸)、オーストラリア(14海岸)、日本(4海岸:茨城県波崎海岸,愛知県表浜海岸3カ所)、ハワイ(9海岸)、アメリカ西海岸北部(8海岸)、カリフォルニア(6海岸)です。解析では、砂浜の侵食、堆積とエルニーニョなどの自然現象を表す9個の指数との相関などを検討しました。その結果、アメリカのカリフォルニアとハワイ、日本の茨城県沿岸ではエルニーニョ現象発生時の冬季に大きな侵食が生じやすいこと、一方、アメリカ西海岸北部(カリフォルニアよりも北)やオーストラリアでは
ラニーニャ現象発生時の冬季に侵食が生じやすいこと、などが明らかになりました。

【成果の意義】
本研究によって、エルニーニョ現象およびラニーニャ現象が環太平洋の砂浜の侵食に広く影響していること、ただし、その影響の度合いは地域によって差があること、が明らかとなりました。今後の気候変動によってエルニーニョ現象および
ラニーニャ現象の発生頻度が増大することが予想されています。本研究成果は、そのような気候変動の影響を受けて環太平洋諸国で海岸侵食が増大することを示唆しており、日本においてもその対策が急がれます。  

【茨城県波崎海岸における低気圧による波の遡上の様子(2006年10月25日撮影)】

 写真

【論文名】
Coastal vulnerability across the Pacific dominated by El Nino/Southern Oscillation(エルニーニョ・南方振動に対する環太平洋諸国の海岸の脆弱性)

【著者】
Patrick L. Barnard*1(アメリカ地質調査所), Andrew Short*2, Mitchell D. Harley*3,*4, Kristen D. Splinter*4, Sean Vitousek1, Jonathan Allan*5, Masayuki Banno*6 (伴野雅之,(国研)港湾空港技術研究所 主任研究官), Karin Bryan*7, André Doria*8, Jeff Hansen*9, Shigeru Kato*10, Yoshiaki Kuriyama*6(栗山善昭,(国研)港湾空港技術研究所 研究主監), Evan Randall-Goodwin*1,*12, Peter Ruggiero*13,
Ian L. Turner*4, Ian Walker*13 and Derek Heathfield*13
 

*1 United States Geological Survey, Pacific Coastal and Marine Science Center, Santa Cruz, CA, USA

*2 University of Sydney, School of Geosciences, NSW 2006, Australia

*3 Universitá di Ferrara, Dipartimento di Fisica e Scienze della Terra, Via Saragat 1, 44122 Ferrara,
Italy

*4 UNSW Australia, Water Research Laboratory, School of Civil and Environmental Engineering, King
     Street, Manly Vale, NSW, 2093, Australia

*5 Oregon Department of Geology and Mineral Industries, Coastal Field Office, Newport, OR, USA

*6 Port and Airport Research Institute, Marine Environment and Engineering Department, Nagase
     3-1-1, Yokosuka, Kanagawa 239-0826, Japan

*7 University of Waikato, Private Bag 3105, Hamilton, New Zealand

*8 Scripps Institution of Oceanography, University of California, San Diego, La Jolla, California, USA

*9 University of Western Australia, School of Earth and Environment, 35 Stirling Highway,
     Crawley,WA 6009, Australia

*10 Toyohashi University of Technology, Aichi, Japan

*11 University of California, Santa Cruz, Department of Ocean Sciences, Santa Cruz, CA, USA

*12 Oregon State University, College of Earth, Ocean, and Atmospheric Sciences, Corvallis, OR, USA

*13 University of Victoria, Coastal Erosion and Dune Dynamics (CEDD) Laboratory,
       Department  of Geography, Victoria, BC, Canada

【掲載雑誌】
Nature Geoscience(ネイチャー ジオサイエンス)

 

問い合わせ先


国立開発法人 港湾空港技術研究所
研究主監 栗山善昭(くりやま よしあき)
Tel: 046-844-5013/080-3420-0854 Fax: 046-844-1274
Email: kuriyama@ipc.pari.go.jp

報道対応


国立研究開発法人 港湾空港技術研究所 企画管理部 企画課
課長補佐 吉田 行秀(よしだ ゆきひで)
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