2005年8月16日宮城県沖の地震(M7.2)の特性化震源モデル

ここでは2005年8月16日宮城県沖の地震(M7.2)の特性化震源モデルを作成した結果について報告する.図-1に示すように震源モデルは2つのアスペリティからなっており,アスペリティの面積は東から順に10.5km2,5km2,アスペリティの地震モーメントは東から順に0.50E+19Nm,0.20E+19Nmである.破壊開始点は東経142.277°,北緯38.148°,深さ42km,破壊伝播速度は3.0km/sである.アスペリティのライズタイムは東から順に0.25s,0.25sである.アスペリティの位置等は,開北橋の波形に明瞭に認められる二つのパルスを再現することを念頭において設定した.この震源モデルを用い,強震波形計算プログラムsgf51.exe(港空研資料No.1173)を用いて相馬-Gにおける波形を計算するために必要なファイル一式を別添ファイルに示す.

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図-1 震源モデル

上記の震源モデルを用い,強震波形計算プログラムsgf51.exe(港空研資料No.1173)を用いて,図-1の各地点における波形とスペクトルを計算した.その際,サイト増幅特性は既往の研究(港空研資料No.1112または港空研資料No.1173)で求められているものを用いた(図-2).位相波としては,開北橋とK-NET岩沼では2005年10月24日18:34宮城県沖の地震(M4.8)の記録を用いた.大船渡防地-Gでは1982年6月1日5:13宮城県沖の地震(M6.2)の記録を用いた.相馬-Gでは2008年10月30日0:48宮城県南東沖の地震(M5.1)の記録を用いた.K-NET岩沼では表層地盤の多重非線形効果を表す非線形パラメタを適用した(ν1=0.98,ν2=0.005).結果を図-3~図-5に示す.波形およびスペクトルの再現性は比較的良好である.本研究では国土技術政策総合研究所地震防災研究室および防災科学技術研究所が取得した強震記録を利用しました.記して謝意を表します.

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図-2 計算に用いたサイト増幅特性
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図-3 各地点におけるフーリエスペクトルの観測結果(黒)と計算結果(赤)
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図-4 大船渡防地-Gと開北橋における
速度波形(2Hz以下)の観測結果(黒)と計算結果(赤)
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図-5 K-NET岩沼と相馬-Gにおける
速度波形(2Hz以下)の観測結果(黒)と計算結果(赤)