3C 海洋空間・海洋エネルギーの有効利用に関する研究

研究の目的・背景

  • 海洋空間や波浪・洋上風などの海洋エネルギーを高度に有効活用することは、海洋国日本にとって極めて重要であり、これを実現するための技術は、未来に向けた我が国経済の活性化のためにも不可欠な要素である。特に、震災による原発事故の影響もあり、代替エネルギーに対する社会的要請も非常に高まっている。
  • しかしながら、日本周辺の海域は世界でも有数の厳しい気象条件下にあり、海洋空間を高度に利用するためには、これらの障害を克服する技術開発が必要となる。
  • そこで、本研究テーマでは、未来に向けた我が国経済の活性化のため、海洋立国日本の確立と海洋エネルギーの有効活用に資するため、遠隔離島活動拠点整備を支援する技術開発をめざし、技術情報整備と技術開発を行う。具体的には、波力発電システムの実用化、洋上風力発電の港湾域への適用、海洋鉱物資源活用のための技術開発など、幅広い取り組みを行う。

研究の概要

次の3つのサブテーマを設け研究開発を行う。

  1. 遠隔離島およびその周辺海域等の有効利用に関する研究
    海洋空間の有効利活用のために必要な要素技術開発をめざす。特に、遠隔離島周辺海域の利活用は、我が国の海洋権益保持として極めて高い社会的注目が集まっている。そこで、リーフ周辺などの海底地形が複雑な海域における面的波浪分布特性を的確に把握・予測できる要素技術の研究開発を行う。

  2. 海洋エネルギーの有効利用に関する研究
    多種多様な海洋エネルギーの中で、実用化が有望視されており、かつこれまで当研究所における研究実績がある、風力と波力に絞り研究を行う。研究活動は、遠隔離島活動拠点整備における中型風力発電や波力発電などのエネルギー自立支援技術の開発のために必要となる技術課題を整理することから始め、中期計画期間中に波力・風力エネルギーを港湾に実用的に利活用するための技術的提案を取りまとめることをめざす。

  3. 海洋における調査・施工のための新技術開発
    上記2つのサブテーマ研究成果を適切かつ有効に現地海域において活かしていくため、必要となる施工技術などの新技術開発を行う。具体的には、これまで研究及び技術開発により蓄積しているAR(拡張現実感)やVR(仮想現実感)を活用した遠隔操作システム、ROV(遠隔操作型水中ロボット)、AUV(自律制御型水中ロボット)による制御システム、水中音響カメラ等の水中音響デバイスに関する技術を活用し、海洋の観測機器類・各種施設設備等に係る調査や作業、海底資源探査や海洋環境調査に資する調査・作業システム等について研究開発を行い、実証試験によってフィージビリティを示す。中期計画期間中に、海洋における調査・施工の信頼性向上のための具体的な新技術を実用化することをめざす。

2015年度の活動

  • 海洋上の孤立リーフ海域に建設される係留施設の利活用に関する技術開発では、リーフ上構造物による波浪抵抗を実験的に定量評価するとともに、それらがリーフ上の波・流れ場に与える影響を数値的に再現して精度を検証した。また、孤島周辺の波の回り込みを考慮して、外洋に面した係留施設に作用する波浪外力を数値的に明らかにした。さらに、波浪モデルと係留船舶の動揺解析モデルとの接続方法について検討した。
  • 遠隔離島における海洋資源開発に関して、採掘対象の条件に応じた各種採鉱機構の全体システムについて検討するとともに、利用できる外界センサを考慮した操作インターフェースなど、海洋鉱物資源の掘削・採集に活用可能な深海施工技術の適用可能性について取りまとめた。また、海洋鉱物資源開発に伴い発生する残渣の埋立方法及び埋立地の地盤条件についての検討を行い、残渣の処分に関する要素技術の適用可能性について取りまとめた。
  • 離島における炭酸カルシウム地盤の形成と安定性に関する現地調査と情報解析では、南鳥島における現地調査の予備検討として、亜熱帯の国内離島(ルカン礁,西表島,石垣島)をサブサイトに選定し、現地調査を行った。
  • 海洋エネルギーの港湾への実用的利活用に関して、波力エネルギーのポテンシャルについてシミュレーションにより評価した。また、NEDOの実証研究として、多重共振型波力発電システム(酒田港)及び洋上風況観測システム(北九州市沖)に関する現地実証実験を行った。
  • 洋上および海中の無人観測システムの基礎的検討では、浮流重油を追跡するブイに関する水槽試験及び現地実証試験等を大阪大学と共同で行った。
  • 次世代音響画像システムの開発では、水中音響カメラの試作機(浅海用)の改良開発及びROV搭載用の水中音響カメラ(深海用)の設計・開発を行った。
酒田港における多重共振型波力発電システムの実証実験

 

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